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ライブ・エンタテイメントに関する法律問題─ライブ会場の確保⑶

弁護士 小倉秀夫

一 ライブ会場の確保

4 プロモーターが関与する場合

⑴ プロモーターの介在

 実際には、ライブハウスやコンサートホール等の運営者とバンド(ないしその所属するプロダクション)との間で直接会場の使用許諾契約や出演依頼契約が締結されることは、そんなに多くありません。そのバンドがある程度売れてくると、間にプロモーターが介在するのが通常です。

 一番大きな理由は、ある程度以上のライブハウスやコンサートホールにおいては、大手プロモーターや地元プロモーターに優先枠があり、一般の予約受付が始まる前に先行的に日程を仮押さえしていることが多いからです。また、実際に、ライブを行おうと思えば、種々のスタッフを確保する必要がありますが、そういう作業は地元に根付いた事業者に任せる方がスムースに進むからです。

⑵ プロモーターへの依頼

 このあたりの地域で、このあたりの日程で、このくらいの規模の会場で、ライブをしたいということが決定したら、その1年くらい前に地元のプロモーターに企画書を送って、会場の確保をお願いするのが通例です。

 もっとも、地元のプロモーターが特定の日に特定の会場を押さえたとしても、すぐに正式契約を結ぶことは多くありません。全国ツアーともなれば他の地域の会場も回るわけで、他の地域の会場を何日に押さえることができたかで、その地域を回る日程が変更になることがありうるからです。もちろん、人気の高い会場ですと、「うちの予定がとれたら、それ最優先だよね」ということで、本契約までの期間が短く設定されることになります(なので、いつまでに本契約を結べばいいのかは、地元プロモーターを通じて確認しておいた方がいいです。)。

 で、どこの会場をいつ回るということが確定すると、プロモーターはライブハウス側と正式に会場レンタル契約を締結し、かつ、プロダクションとの間で、ライブに関する契約を正式に締結することとなります。プロモーターとプロダクションとの間の契約は、① プロダクションがプロモーターに興行の運営に関する事務を委託する契約と、② プロモーターがプロダクションにその所属アーティストの出演を委託する契約、③ プロモーターとプロダクションが共同して興業を行う契約とに大きく分かれることになります。③の場合、プロモーターとプロダクションとの契約は、民法上の組合契約となります。プロモーターとプロダクションの双方が、資金や労務を提供し合うこととなります。

⑶ プロモーターとの契約内容

 いずれの契約形態をとるにしろ、プロダクションとプロモーターとの間の契約で決定することはだいたい決まっています。

・ どちらがどのスタッフを確保しておくか。

・ どちらがどの業務を担うか。

・ どちらがどの費用を負担するのか。

・ 売上をどちらにどのように配分するのか。

・ 公演が中止または延期になった場合のリスクをどちらがどれだけ負担するのか。

・ グッズの販売スタッフをどちらが手配し、プロモーターにマージンをどれだけ渡すか。

 プロダクションが確保すべき人員(バンドメンバーやサポートメンバーは当然含まれます。)の交通費、宿泊費、飲食費等は、特別な合意がなされない限り、プロダクション側が負担するのが通例です。

 どちらが業務を担うのかと、どちらが費用負担をするのかは、齟齬が生ずることもしばしばあります。例えば、JASRACへの申請はプロモーターが行うが、JASRACへの楽曲使用料はプロダクションの負担とするという約定が結ばれることもしばしばあります。社団法人全国コンサートツアー事業者協会はJASRACと包括許諾契約を締結しているので、同協会加盟のプロモーターが担当しているライブであれば、プロモーター側で申請手続きを取った方が簡略だからです。また、全国ツアー前に、地元の放送局にバンドメンバーを出演させるには、地元のプロモーターがそのコネを駆使して放送局と出演交渉しますが、出演が決まってしまえば、収録日時にスタジオにメンバーを派遣するのはプロダクション側の義務です。

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