このページは、弁護士小倉秀夫による、法律問題に関するQ&Aを掲載したものです。具体的なご相談やご依頼については、こちらのフォームをご利用ください。
SNS上で、私の名前を騙って下品な投稿をしている人を発見しました。どうしたらいいですか。
SNS上では、自分の名前を騙って第三者が投稿してくることがたまにあります。あなたが著名人でもなければ、犯人は、あなたの知り合いで、あなたに悪意を持っている人物です。
自分の周りにそういう人物がいることは分かっているが、それが具体的に誰なのか分からないというのは気持ちが悪い話です。それに、そのような投稿をすると、自分のことをそれほどよく知らない第三者がその投稿を見て、自分のことを、そのような投稿をする人物であると誤解してしまう危険があります。これから接点を持つことになりそうな人についてウェブ検索をかけてどんな人物か調査した経験のある人は多いと思いますが、そういうことは自分もやられているのです。
自分の名前を騙って第三者がSNSに投稿する行為が名誉毀損となるかは、そのような発言をする人物だと誤解されることで自分の社会的評価が低下するかによることになります。性的な内容の発言や、差別的な発言、あるいは、第三者を中傷するような発言については、そのような発言をする人に対する社会の評価は低いので、自分の名前を騙ってなされた投稿の内容がそのようなものだった場合、名誉毀損が成立します。
また、自分の名前を騙ってなされた投稿の内容が、自分のそれまでの言動と相容れないものであった場合、言動に一貫性のない人物だと誤解される危険がありますから、名誉毀損が成立し得ます。それ自体で社会的評価が低下するとまでは言えないとしても、自分という人間について、実際とは異なる人物像が形成されることは、一般人の通常の感性を前提としても、受忍限度を超えて不快感を感じますので、人格権侵害が成立する可能性があります。例えば、参政党支持者であるからと言って必ずしも社会的評価が低いとまでは言えませんが、自分の名前を騙る人物が参政党を推奨する投稿を繰り返した場合、それを見た人が自分のことを参政党支持者だと誤解する危険が生じますから、人格権侵害が成立する可能性が十分にあります。
この場合、SNSへの投稿という特定電気通信により自己の権利(名誉権や人格権)が侵害されたので、SNSのプラットフォーム運営者(X CorpやLINEヤフー等)に対し発信者情報開示請求をすることができます。ただし、その手続きは難解なので、その種のインターネット紛争が得意な弁護士に依頼した方がいいと思います。だいたい、そういうのが得意な弁護士は、ネット上で情報発信していますから、ネットサーフィンをすれば見つけられると思います。まとまったお金はかかりますが、自分がそういう人物だと誤解されたままにしておくリスクは大きいですし、誰が自分になりすましているのだろうと疑心暗鬼になったまま時を過ごすのも精神衛生上よくありません。また、発信者を突き止めることができれば、発信者情報開示手続きにかけた弁護士費用が回収できる可能性があります。
で、発信者情報開示手続きは時間との勝負です。ぐずぐずしていると、アクセスログが消去されて発信者情報にたどり着かなくなるからです。なので、なりすまし投稿を発見したら、できるだけ早く、弁護士に相談しましょう。
そして、相談するにあたっては、どの投稿が問題なのかを弁護士に示さないと始まらないので、弁護士に相談する前に、問題の投稿についてプリントアウト等をしておきましょう。その際、その投稿のURLと投稿日時がはっきり分かるようにしておくと、相談を受ける弁護士は助かります。発信者情報開示請求をするにあたっては、当該投稿のURLと投稿日時がキーとなるからです。まあ、相談を受けた直後その投稿が削除されずに残っていれば、相談者が帰った後に、その投稿を見つけてそのURLと投稿日時が分かるように証拠化しますけど、そのような作業をする前に投稿が削除される危険は十分にあります。
発信者情報開示請求をするにあたって問題となるのは、その投稿が本当に自分のことを騙っていると言えるかどうかです。日本人には、同姓同名が少なからずいるからです。そのため、その投稿自体、あるいはその投稿の前後の投稿から、これはまさに自分が投稿したものと騙られているのだということを示す必要が生じます。その判断は、相談を受けた弁護士がしてくれると思いますが、判断の資料として、その前後の投稿をプリントアウト等しておき、相談の際に弁護士に示した方が、話が早くなります。