このページは、弁護士小倉秀夫による、法律問題に関するQ&Aを掲載したものです。具体的なご相談やご依頼については、こちらのフォームをご利用ください。


Q 裁判所から封筒が送られてきたときの対処

裁判所から私宛に封筒が突然送られてきたようです。どうしたらよいですか。

A 裁判所が送ってきたものかどうかをまず確認してください。

 ある日、裁判所から突然封筒が送られてくることがあります。

 その場合、まずやるべきことは、「それが本当に裁判所から送られてきたものか」を確認することです。というのも、悪質な業者が、裁判所からの封筒を装ってお金等をだまし取ろうとすることもしばしばあるからです。

 裁判所から突然封筒が送られてくるとすれば、① 口頭弁論期日や審尋期日等の呼び出し、② 証人としての呼び出し、③ 判決書や仮処分命令等の送達等が考えられます。

 確認方法

 いずれの場合にも、その封筒の中に入っている文書には、裁判所名、担当部、事件番号が記載されているはずです。事件番号というのは、たとえば、「令和8年(ワ)第123456号」のようなものです。その文書に記載されている裁判所の電話番号を裁判所のWebサイトで確認した上でそこに電話し、担当部につないでもらい、そこで、事件番号を告げて、「●●というタイトルの文書が送られてきたが、本物か」を確認すると、教えてくれます。その事件の担当の裁判所書記官がたまたまそのときに不在だったとしても、そのようなタイトルの文書を送ったのかどうかくらいは教えてくれます。

 封筒内に挿入された文書の中に、通常、担当部の電話番号等、連絡先の電話番号が記載されています。ただ、詐欺師が詐欺文書を送る場合、当然、詐欺師がつかっている電話番号を記載している危険が高いので、これが本物かを確認する場合、電話連絡をする先はネットで調べた方が安全です。

 その際、気をつけなければいけないことは、裁判所の電話受付は、平日の午前9時から午後5時までであり、午後5時を過ぎると、一切電話が通じないと言うことです。ですので、平日お仕事をされている方は、裁判所っぽいところから封筒を受け取った日の翌平日のお昼休みの時にでも電話をするようにしてください。一応、正午から午後1時までは昼食休憩と言うことにはなっていますが、この時間帯にかける分には、誰かいることが多いです。

 口頭弁論期日への呼出状だった場合

 送られてきた書類が口頭弁論期日への呼出状であった場合、その中に、「訴状」という書類が挿入されているはずです。呼出状に記載された期限までに、① 「請求の趣旨」に記載された請求についてどう対応するのか、② 「請求の原因」に記載された事実主張について認めるのか、争うのかを記載した答弁書を作成して提出する必要があります。とはいえ、いきなり来た訴状に対して、的確な対応を瞬時にするのは大変なので、通常は、形式的な答弁書を出すにとどめます。

 具体的には、以下のような書きぶりになります。

第一 請求の趣旨に対する答弁
 一 原告の請求を棄却する。
 二 訴訟費用は原告の負担とする
との裁判を求める。
第二 請求の原因に対する認否
 追って認否する。
  

 答弁書は、裁判所の担当部に1部ファックスし、「訴状」中「送達場所」と記載されている者に1部ファックスする必要があります。原告が複数いて、それぞれ「送達場所」が異なる場合には、全ての「送達場所」にファックスをする必要があります。

 そして、裁判所の担当部に答弁書をファックスしたら、裁判所の担当部に電話をして、呼出状に記載された期日に裁判所に出頭できるかどうかを告げるとよいです。また、今は、民事訴訟に関しては、Microsoftが提供するTeamsで審理を行うことができるようになった(その場合、物理的に裁判所に行く必要がなくなった。)ので、Web会議での審理を希望する場合は、その旨を裁判所の担当部に伝えた方がいいと思います。また、弁護士に訴訟事務を依頼する予定があるのであれば、その旨も裁判所の担当部に伝えておいた方がいいと思います。

 ここで一つ気をつけなければいけないのは、遠方の裁判所から呼出状が届いた場合です。民事訴訟の場合、被告の住所地を管轄する裁判所で審理をするのが原則ですので、移送申し立てをすれば、そんな遠方の裁判所に行く必要がなくなる可能性があります。ただ、何の留保もなしに答弁書を提出してしまうと、移送申立てをする権利を放棄することになってしまいます。このため、この場合、答弁書は、

第一 本案前の答弁
   本件を●●地方裁判所に移送する。
との決定を求める。
第二 請求の趣旨に対する答弁
 一 原告の請求を棄却する  二 訴訟費用は原告の負担とする
との裁判を求める。
第三 本案前の答弁の関する理由
 一 被告の住所地は、●●にあり、その第一審の管轄裁判所は●●地方裁判所である。
 二                 
第四 請求の原因に対する認否
 追って認否する。

という内容を記載することが重要です。被告の住所地を管轄する裁判所以外の裁判所に訴状を出す場合、なぜその裁判所に裁判管轄があると考えるのかと言うことを原告は「管轄上申」という形で裁判所に上申しているので、「この事件でなぜ御庁に訴訟が提起されているのですか」と担当部に聞けば教えてもらえるので、上記「第三の二」にはそれに対する反論を書くことになります。仮に、その裁判所にも裁判管轄があること自体は否定できない場合、「二 原告側には訴訟代理人が就いており、口頭弁論期日や弁論準備期日はTeamsで遠隔から参加することができるのに対し、被告はいまだ訴訟代理人を選任するに至っておらず、ついに訴訟代理人を選任できない場合には、口頭弁論期日や弁論準備期日に関しては裁判所に出頭しなければならない。このため、被告の住所地からみて遠方にある御庁にて審理を行うと、被告にのみ一方的な負担がかかることとなる。したがって、当事者間の公平を図るために、本件を●●地方裁判所に移送する必要がある」と書いておくと言うことも考慮に値します。

 弁護士に訴訟事務を依頼する気があるのであれば、依頼する時期が早ければ早いほど、これらの手続きを弁護士にやらせることができるので、お得です。

 審尋期日への呼出状だった場合

 仮処分命令申立事件などに関しても審尋期日の呼出状がとどくことがあり得ます。この場合、最初の審尋期日での対応で趨勢が決まってしまうことが多いので、口頭弁論期日への呼出状の時のように悠長に構えていることはできませんん。

 指定された日時に指定された裁判所に出頭することができない場合、① Teamsを使ったWeb会議なら出席できるというのであれば、担当の書記官にその旨を告げてください。② それも難しいという場合、裁判所に期日変更申立をすることになります。ただし、どうしても外せない予定がすでに入っていることを具体的に示すことが必要になります。

 また、審尋期日までに、仮処分申立書に記載された主張に対する反論を記載した書面を、その反論を裏付ける書証とともに、裁判所と相手方の送達場所にファックスして送っておく必要があります。

 判決書だった場合

 まれでにですが、突然裁判所から判決書が送られてくることがあります。それ以前に「訴状」の送付を受けていたのに、放置していたため、相手の言い分通りに判決が下されてしまった場合がほとんどです。

 この場合、判決書を受け取った日から2週間以内に控訴をしないと、判決が確定してしまい、あとから争うことは非常に困難となります。なので、すぐに弁護士に相談できる状況にない場合、とりあえず、控訴状を自分で作って出しておく必要があります。その場合、一般の方が自分で第1審判決を覆すことは困難なので、急いで弁護士に相談して引き受けてもらってください。

 似たようなものとして「支払督促」というのがあります。裁判所から支払督促が送られてきた場合、これを受け取った日から2週間以内に< a href = "https://www.courts.go.jp/tokyo-s/vc-files/tokyo-s/tokusoku-t12.pdf">異議申立書を作成して裁判所に提出する必要があります。これを怠ると、「仮執行宣言付支払督促」が送られてくるようになります。そうすると、いつ何時あなたの財産が差し押さえを受けても不思議でない状況に追い込まれます。異議申し立てをしておけば、通常訴訟に移行します。

 仮処分命令書等だった場合

 仮処分命令書や仮差押命令書が送られてきた場合、法律上は異議申立てはいつでもできることになっているとは言え、すぐに保全異議の申立と執行停止の申し立てをしないと、当面の間、仮処分や仮差押えにより禁止された行為をすることができなくなったままになります。この手続きも、弁護士に頼まないと難しいので、すぐに弁護士に相談してください。

 証人としての呼出状

 証人として呼び出された場合、呼び出された日時に呼び出された場所に出頭することができないときは、大至急、裁判所の担当部に電話連絡を入れてください。無断で欠席すると、制裁が科される危険があります。連絡を入れると、尋問期日を調整してくれる可能性があります。


 ここで気をつけなければならないのは2点です。

 一つは、家族の誰かが書類を受け取っていれば、あるいは職場の誰かが書類を受け取っていれば、その日のその書類を受け取ったことにされると言うことです。自分の手元に来たのがそれから数日後であっても、そのことは考慮されません。

 もう一つは、期限内に裁判所に届く必要があると言うことです。期限内の消印があっても、そのことは考慮されません。とりわけ、郵政民営化以降、普通郵便が届くのに日数がかかるようになったので、普通郵便や書留郵便で出すのは、危険なギャンブルになっています。

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